2012.
10.
08
05:15:54
10月5日。前回の、横尾本谷右俣~西穂高岳への山行では、「本谷カール」の素晴らしさに
感動したばかりでなく、「北穂高小屋」での還暦祝いのワインにも感激してしまいました。
「もう一回、北穂小屋に行きたいなあ~!」とつぶやく私の声にこたえて、夫が「今度は、左俣から
北穂に行くのは、どう~?」と提案してきました。「左俣はキレツトから丸見えだし、カールも余り
魅力が無いなぁ…」と難色を示すと、「左俣カールは行かないよ。左俣から「北穂の池」に登って
紅葉に囲まれた池でノンビリした後、「北穂の東稜」を経由して北穂高の小屋に泊まるんだ。」と、
なにか行かないと損をしてしまいそうな言い方で、迫ってきます。
ちょっと心を動かされた、私のしぐさを見透かすように「2日目は、ゆったりパノラマコースを下る
なんて、最高の秋山登山になるんじゃないの?」。「もしも、体力に余裕があったら、涸沢から
「ⅤⅥのコル」を越えて、「奥又白の池」も楽しんで上高地に下るなんてのも良いよね」と、
次々と繰り出してきます。
【紅葉の「北穂池」の台地から「大キレット・南岳」を仰ぎ見て「ため息」がとまりませんでした。】
そのⅠ 上高地~本谷左俣~北穂大滝登攀~北穂池めぐり
(年寄りの冷や水ルート①)
・5時30分。前夜、大雨が降ったらしく道路はまだ濡れています。茨城より、少し遅い夜明けです。
・「カッパ橋」から、山のほうに目をやると、かすかな「岳沢小屋」
の灯かりと、右上に、雪渓らしい姿がぼんやり、白く見えてきます。
・6時30分。上高地の良さは、このアプローチの長さです。体が目覚める頃に、「徳沢園」に着きました。
・ここまで書かれてしまったら、素通りするわけにはいきません。寄り道の癖がついてきました。
・本当は、「山菜そば」と「山菜うどん」を食べたいのですが、宿泊客の朝食中で、飲み物だけになります。
・7時35分。のんびりしながらも、まずまずのペースで「横尾」に着きました
・橋を渡って、横尾本谷に踏み出します。まだまだ、紅葉は進んでいません。
・「本谷橋」の先では、たくさんの登山者が休憩をしています。涸沢から下山してきたようです。
・入山者も橋を渡りますが、まだほんの少しです。今朝の到着組では、トップグループでしょう。
・青空が、広がってきました。さあ、気合を入れて「紅葉探索」と「北穂池探索」に出かけます。
本谷周辺の紅葉は、「南岳小屋」のホームページで確認しています。上から撮っても、あんなに
鮮やかなのだから、「ナナカマド」などを目にしたら、どんなにか感動してしまうでしょう。
・大岩の先で、右岸から「涸沢」が合流してきます。カールからは想像できない、貧弱なものです。
・ピンクのザックのお兄さんと、顔を合わせました。左俣に行くようです。
「溯ってくるもんですね。誰もいないと思っていたのに」と、呟いています。
「右俣」への彼を、「ウェストンの道を行くようですよ」などと言いますが、
心配です。ヘルメットにアークのザックは良いけど、身のこなしがどうも?
・先行者が旅立った後、ゆっくり休憩をして、私達も「左俣」から「北穂池」を目指します。
見える「舳先」が「奥の二俣」なら、手前に「大滝」が落ち込んでいる筈。すぐそこに、見えますが。
・ガレ続きで、いつまでも「舳先」の光景が近づいてきません。
・しばらく溯って振り返った光景です。沢溯りではなく、ガレ登りそのものです。
・「大滝」が見えてきました。手前の雪渓が二つに割れ、間を通過しました。
どういう訳か、ピンクのお兄さんは、右を高捲いてしまっています。
・「大滝」です。水量が少ないので、「感涙」するほどの迫力はありませんが、100mもあるそうです。
・「大滝」の先に、二俣から見えていた「舳先」があります。まるで、「長次郎谷の熊ノ岩」のようです。
・奥の二俣です。本流は右。水はありませんが、かなり沢床が低くなっています。
「北穂池」へは、左沢の、二本目辺りのルンゼを登るようですが、明確なルートはありません。
・「大滝」の上流に来ました。夫の目は「ランラン」です。「直登するわけではないけど、チョッと見てみる。」
と言って近づいて「チョッと登ってみる」。「楽勝だ!登ろう!」ときました。本当に「楽勝」なのでしょうか?
写真の「大滝右下」から、滝身に向かって「左上」して、中段、上段は潅木帯を捲いて登れそうではあります。
・なんと……。私も下部岩壁から、潅木帯に。
・最初は濃い藪から、中段を覗き見です。高度を上げると、次第に良く見えてきます。
昔なら、潅木帯などを登らず、水流の近くを登っていたのでしょうが、還暦ですから遠慮をします。
・いよいよ、潅木登攀完了間近です。開けた岩場から振り返ると、「左俣カール」の紅葉が飛び込んできました。
・「左俣カール」から、さらに上に目をやると、そこには「南岳」の大岩壁が、そそり立っています。
・紅葉の大パノラマに後押しをされて、もう一登りします。潅木帯も緩くなってきました。
・潅木が開けて、また後ろを振り返ってみます。まだ、目的地に着いていないのに、この光景です。
・夫が先に「北穂池の台地」に飛び出し、私を待っていてくれました。全身、赤に染まりそうです。
・「大滝登攀」に45分。目指してきた「北穂池」の水源、「大滝」の水源である、雪渓が現れました。
・紅葉の「満漢全席」。こんな絶好の「紅葉日和」なのに、誰もいません。私達二人だけです。
・11時35分到着。あまりの素晴らしさに、呆然とします。珍しく、40分も徘徊してしまいました。
・先を急ぐことばかりしか、知らないものかと思っていましたが、今日の夫は少し違います。
・大きな光景ばかりではありません。高山植物が、我先にと咲いています。
・雪渓から、ポコポコと水が湧いています。こんな「今だけの」自然の営みに感激です。
・池が三つほど点在しています。一の池やら、二の池やらと、歓声とため息の連続で疲れます。
・歩けば歩くほどに、新しい光景が見えてきます。うれしい嬉しい、時間が過ぎていきます。
あまりに素晴らしい、「紅葉」と「北穂池」からのパノラマビューに、ただただ感激の連続です。
大滝左岸の登攀も、攀ってしまえば感激です。東稜からの下降か、A沢のコルからトラバースする
のが通常のルートのようですが、大滝を直登しての「北穂池」とのご対面は、見かけませんでした。
・山頂に見える「人工物」らしき影が、「北穂高小屋」です。
「年寄りの冷や水ルート①」に満足してばかりはいられません。この後、頭上に見える「北穂高小屋」まで、
「年寄りの冷や水ルート②」である「東稜」の登攀がありますが、そこまでのルートは、これから捜します。
そのⅡ に続きます
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大変すばらしい、最短の突破ルートに感動しています。
大滝の左岸の登攀ですが、取り付き地点はIMGP3931(舳先まで20m?ぐらいの画像)あたりでしょうか。それとももっと手前でしょうかね。
下段を左斜上していくとのことですが、その部分は岩盤を登攀するのでしょうね。
画像から拝見する限りではノーザイルなので、灌木帯も含めて何とかなるレベルみたいですね。
いきなりの質問の嵐で申し訳ありませんが、もしよろしければご教授ください。
① 3930の写真で見ていただいて、大滝のハングが終わり舳先下から草付きが伸びてきている辺りから、取り付きました。
② ボロボロの岩と草つきのミックスで、左上していくと細い潅木があり、そこからは潅木頼りに登れました。
③過去の記事を見ても、大滝左岸を登ったものは無く、もう少し上流を登ったルンゼからと言うものばかりでしたが、やり直したり、迷ったり、相当苦労をした、と言うものばかりでした。
安全なルートかというと疑問ですので、補助ロープは持ったほうが良いと思います。
私たちは昨年も登っています。その時は潅木帯ではなく、滝身を直登して、落ち口で左の潅木に逃げています。結果的には、この場合は、右に逃げた方がよさそうでしたので、参考にごらんいただけれは幸いです。
楽しい山行になることを、お祈りしております。
snow dropさんが登ったと思われるルートで登攀しましたが、安全を期するためにほぼ全ルートをザイル(φ9mm×20m)で確保したため、台地に出るまでに2時間もかかってしまいました。
我々の実力が足らなかったようですが、やはりノーザイルでは厳しいと感じました。まあそれだけ苦労したぶん、北穂池に到達(12:30)できた喜びはひとしおでした。
ただ、時間がかかりすぎたため、南岳は半分ガスに隠されていてちょっと残念。
その後は、A沢のコルまで詰めて、南岳小屋泊となりましたが、日没間近着でえらく怒られました(反省)。
大滝左岸登攀ルートは、“雪滴新道”と名付けて、所属の山岳会誌に紹介するかもです(笑)。
どうもありがとうございました。
北穂池の紅葉を満喫されたことでしょう。
私たちは、北穂池にするか悩みましたが、あと数日後が
ピークと考えて、週末は奥又白池でノンビリしてきました。
北穂池は毎年行きたいところなので、1日くらいに行って
みようかなと思っています。