山と自然の贈り物の記録
久しぶりの穂高岳②

9月26日、4時15分起床。

 昨日の夕方。一面のガスだったのに、突如として夕日がガスの切れ間に顔を出し、
「岩峰・夕日・流れる霧」のコラボレーションを眺めながら、シュラーフに入っていた。
 
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 快晴の予感どおり、稜線の上に残月がくっきりと浮かび上がり、真っ青な空。下界に目を移せば、
上高地は雲海に隠れて、
まだ、夜明け前の様子。

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5時50分出発。今日の行動は、「重太郎新道」から約4時間で奥穂高岳に登り、往路を戻ってトータル8時間弱程の行程。
順調に行けばのことだが!
夫は、夕方には雨になる予報だから、「早く帰って上高地に降りて、温泉に泊まろうよ!」と、またもや世迷言。
女子部は、完全無視を決め込み、前穂の影が西穂高への稜線にコントラスを描く様や、徐々に霧が動いて姿を現してくる
上高地に、目と心を奪われてしまっていた。
 
 それにしても、今朝は寒かった。テントにかけたフライシートは凍ってバリバリだった。岩だらけの「重太郎新道」も土が
露出したところには、足の長い霜柱がびっしり。無視されてさびしかったか、夫はストックで霜柱を倒して遊んでいる。
なんとも無邪気な光景だが、この急登につぐ急登の岩尾根で遊んでいられる体力には感心する。羨ましいったらありゃしない。

 ちなみに、私は若干10㍑のサブザック。友人のFは、なぜ?と思うような大きなザック。彼女はサブザックを拒否して背負ってきたのだ。穂高に登るために買ったまま、長らく出番のなかったザックを、「穂高の頂上につれていきたかった」と言うのだ。

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カモシカの立場、岳沢の見晴台、ライチョウ広場の岩畳と絶景ポイントで少し息をつくことが出来る筈が、休む間もなく夫が歩き出してしまう。自分は一足先に着いているものだから、1人だけしっかり休んでいるんですよ。
後になって不満を言ったら、「いいや、皆んな休みは取った。一息ついてから出発したはずだ。」と譲らない。

 岩場あり、クサリ場ありの急登で、正直、女子部二人は疲れていたんです。

 紀美子平に着いた頃には、「北アルプスの眺望も堪能したから、ここ、紀美子平から前穂岳の登り30分でいいかなあ」と
思い始めていた。それ程、疲れていたのです。
 やっと、初めての大休止。
 こんな岩畳のような傾斜地に、本当に重太郎さんはテントを張って、紀美子さんを寝かしていたの?と思いを馳せながら、開発された登山道に感謝です。「良くも、まあ、あんな岩稜に登山路を拓こうと考えたね。それにしても、うまい具合にルートを作っているね」と感心しきりです。俯瞰してルートを見ていると、「登りでは気がつかなかったけど、あんなリッジの上に道があったんだね。」下山の登山者がその上に立っていると、「おいおい、落ちるなよ!」と思わず声をかけたくなる光景です。

 ところが、ふっと気づくと、女子部の気持ちも知らずに、隣の我が夫は「さあ、奥穂までもう少し!」と言って
ザックを背負ってしまう。
「エッ、行くんですか。私達、ここまでで良いと思っているんでけど!」と思っているのに、行きたい思いも脳の片隅にあったのか、二人してスクッと立ち上がってしまいました。

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奥穂高への道は「吊り尾根』と言う名の通り、「岩屑の岩稜を少し下って登り返す」、3,000㍍の稜線漫歩コースの筈です。
昔だったら、私達もそうだったのかも知れません。しかし、中高年の後ろのほうに属するようになった私達の現実に、
漫歩の気分はほとんどありませんでした。
 呼吸が苦しいだけでなく、足元にも、「こんなに険しかったっけ?」と思うほど、
なのに、腹立たしいのは我が夫のはしゃぎぶり。一人だけ乗りまくっている様子。小休止したいのに、他人の気持ちを
知ってか、知らずか、どんどん先に行ってしまう。

 普通ならこの辺で音を上げるのだろうけど、女子部の意地もあります。

10:05分。ついに、苦しみからの解放。
今までの息苦しさ、置いていっしまう者への腹立たしさ、昔の自分と違う自分への歯がゆさ、みんな忘れて大ケルンの上。
Fと一緒に山頂プレートを抱いて、記念撮影です。

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昨年の10月。何十年振りかでFと加賀白山に登った時。下は汗だくだったのに、上は雪。ヒュッテに一泊して翌朝、
吹雪の中を登頂し、奇跡のご来光。
  なんと、今年もです。昨日の朝までの雨。上高地から晴れだし、今日は夕方までの快晴の約束。
夕方には崩れるとの予報。ピンポイントで晴れ間をついて、そして今、頂にいる。

今年の約束が上高地・涸沢周辺散策だったのに、北アルプス最高峰の奥穂高岳まできてしまった。遠くに槍ガ岳。
眼下に涸沢カール。前穂の北尾根のギザギザも雄雄しい。西へ目を転ずれば、ジャンダルムから西穂へ向かう稜線。
夢のようだけど、夢じゃないんだ。今頂上にいるのが、信じられないよ!

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お互いに年齢を重ねたことを再確認しただけでなく、「チャレンジ心を失わなければまだまだ青春だ」、「子育てが終わった
今こそ、青春巻き返し」とも確信することができた一瞬でもありました。

 ここで、突如として、Fが「重大発表があります」と言う。余りの真顔に「何事か!?」と驚いていると、「来年は、北穂の小屋で、赤ワインでディナーをとりま~す!」だって。なんだ、なんだ、なにごとかとビックリしたのにそんなことだったのかい。Fは登山家の「今井通子」が「北穂の小屋の主のようになって、赤ワインを傾けていた」と言う伝説?に憧れていたのだそうです。
 登りながら、ずうっと考えていたようですが、自分の夢だけでは悪いと思ったか、われらがボッカボーイ・夫が還暦を
迎えるから、赤ワインでお祝いもしようと、付け足しをしてくれました。
友達思いに感謝!

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それにしても、穂高や涸沢が近くなったねぇ!ご無沙汰している間に、交通の便がよくなり、いろんな人が登るようになっていた。うわさの山ガールが結構いたし、山ボーイにもお目にかかった。さっそうと歩く様は羨ましい。外国の登山者も多い。上高地は中国の団体さんが多かったけど、山の上は韓国の団体さんが多い。白人の方も結構いて、こちらはなぜかペアが多い。
国際交流は、今昔の差さが大きいね、と実感させられた。

 さて、一時間近くも贅沢に山頂からの眺望を楽しんだ後は、往路の下山。

んっ! んっ! 「下りもきついだろうなあ」と心配していたのが、ウソのよう。岩に慣れたせいか、スイスイ下れる。二人とも膝に
心配を抱えていたのに、「こんなものだったかな」と余裕の下山。
紀美子平で再度休憩した後で、いよいよ急な岩稜の下降に入ります。

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さっきまでと同様に、下りはいたって快調。膝も問題なし。
「それにしても、この急坂。よく登ってきたねえ。」「こんなに急登だとわかっていたら、登れなかったかもね。」
「私達、穂高に登りたい一心で登ってしまったね」
「目標を持つと、何でも出来ちゃうね」と軽口がついて出るほど余裕が生まれ、
喘ぎながら登ってくる登山者にいたわりの声をかけたくなってしまいます。

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14:10分。BCキャンプに到着。
早速、夫は缶ビールをプシューッと開けてご満悦。私達は、特製ドーナッツとミルクティ。「チョーおいしい!」

上高地を望む岳沢小屋前の大石のテーブルでささやかな祝賀会。
今朝、「上高地まで降りようよ」とぐずっていた夫も、缶ビールを両手にしたせいか、素直に夕食の準備。

お陰様で、予報より一足早くきた大粒の雨にぬれる前にシュラーフに入ることが出来ましたが、達成感からか、
なかなか寝付かれず、長~いオシャベリタイムが続くことになってしまいました。

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Posted by tomo
comment:2   trackback:0
[北アルプス
comment
穂高に登ってこられたのですね。
なんて素敵な眺め! 稜線もすごいっ。
360度いろんな表情があるんですね…。

tomoさん、まだまだ現役バリバリ山ガールです!
ボッカボーイさんも素敵です☆
2010/10/11 21:10 | | edit posted by buono
現役とはいきません。
楽しい山行でした。現役時代のようにはいきませんが、年相応に楽しみます。
日本に戻ったら一緒に山に出かけましょう!
bounoさんなら、レギンスにスカートの山ガール姿がお似合いですよ。私にはとても無理無理。
若い女性の山ガールファッションが流行っています。
あと少しの間、紅葉を楽しみたいと思います。
2010/10/12 22:16 | | edit posted by tomo
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