山と自然の贈り物の記録
槍が岳で引き回しの刑にあいました

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先週来の寒さが和らぐ筈だったのですが、今週もまだまだ平年並みには
戻りません。
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東北の高い山や、アルプス周辺でも雪が降ったようです。

これで、「万事休す」です。

10月山行を「北鎌尾根」を決め込んでいた夫。
ヘルメット、ハーネス、ケブラーの補助ロープ等、次々に買い込んで、
着々と北鎌尾根を目指していたのに、雪にはかないません。

それでも一縷の望みをつないで、仕事帰りに防寒手袋まで買い込んで
いましたが、「やっぱり、来年にするか‥‥」で、
「槍ヶ岳だけ」の「紅葉見物山行」に変更になりました。

連休の混雑を想定し、1日早い、7日(金)からの予定としましたが、
元気をなくした夫には、「前夜発」する気力が無く、珍しく早朝出発となりました。

9時、上高地出発。さすがに、寒いです。
あったかい「おやき」を頬張ってから、カラ松林に入ると、俄然夫が元気に。

寒いこともあって、明神館まで、なんと、30分。

最近の山行の中で、「昔は飛ぶように歩いたのに」とか「コースタイムの半分
だったのに」などと、夫の昔話が多くなっていたので、「昔に戻った」と大喜びです。

111007_12087E01.jpg 111007_12477E03_20111016112741.jpg 槍沢ロッジ

徳沢園、横尾を往年のペースで駆け抜け、一の俣を過ぎるとさすがに
ペースダウン。
でも、轟々と音を立てて流れる渓谷沿いの登山路は、気持ちが良い。
「夏だったら、水浴びをしながら登れるだろうな!」と真顔で話す夫。

槍沢ロッジでキャンプの届出をし、少し急になった登りにかかる。
パラパラ降っていた雨も上がり、もう快晴。

槍見岩とか覆いかぶさるようなカブト岩等、さすがに来たアルプスです。
槍沢、初デビューの夫は、キョロキョロと落ち着きがありません。
この辺りでも相当冷え込んだのか、ナナカマドの葉っぱは、茶色のチリチリです。
実だけが赤く輝いていますが、感動はイマイチです。
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13時25分、槍沢キャンプ場に到着。
小屋跡のコンクリートのたたき部分が幕場となった、とても狭いキャンプ場です。
トイレも、簡易水洗トイレとは言うものの、雨風が吹き込む、とても
粗末なものが一つ。
ロケーションも、岳沢、涸沢、剣沢などと比べてしまうので、相当見劣りします。

夫はと言えば、初日の贅沢と言って背負い上げた、ビールとお酒に酔いしれて、
もうお昼寝です。

テント場

昼前まで、冬型の季節風の影響を受けてパラついた空も、今は、真っ青です。
晴れ渡るのは嬉しいのですが、
少し気温が上がるのを期待して、夏仕様のシュラーフを持参していたため、
晴れすぎて、放射冷却が進むのは御免です。
そんな事情にお構いなしに、時折冷たい風が吹きぬけ、
今夜の寒さを予感させます。

早々に夕食を済ませ、午後6時にはシュラーフに入りました。
一眠りの後は、しんしんと冷えが足元から全体に広がり、
朝が待ち遠しくなってきます。

10月8日、深夜。
夫も起きたらしく、ゴソゴソしているので、「何時?」と聞くと、
「3時ちょっと」と答える。

周りのテントでも話し声がし、トイレのドアを開けたてする音も聞こえ
たので、夜明けが近いことに、なんの疑いも持たなかった。


<真っ暗闇でした>
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「混まないうちにトイレを済まそう」「食事をしているうちに、
明るんでくるんじゃない?」と二人。
ところが5時を過ぎても、まったく変わりません。
夫が、「茨城県より、だいぶ西になるから、夜明けが少し遅いんじゃない?」
などと言うものだから、納得してはいたのだが、明るくならない。
見切り発車で5時30分過ぎにテントを出ることにしました。

でも、全く暗いまま。さすが異変を察知したのか、時計を見直していた夫が
「今日は何日?8日だよね。なんで7日になってるの?エッ、昨日の時間?」

と言うことで、
10月8日、3時15分に出発してしまっていたのです。
冷静に振り返って考えてみると、夜中まででていた月も沈み、漆黒の闇夜に
なったところで出発してしまったようです。

夫の失敗を攻めても仕様がない。どうせ、寒くて寝ていられなかったのだから。

コースタイムを見れば、水俣乗越までは2時間強。ゆっくり、ゆっくり登れば、
丁度ご来迎のころに稜線に出る。
ゆっくり歩いたつもりが、なんと20分で乗越沢に着き、さらに、休み休み
登ったつもりが1時間弱、
4時30には水俣乗越に着いてしまいました。

               <暗闇に槍と小屋の明かりがかすかに見えます>
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<振り返る西岳は真っ暗です>
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ここは寒い。風が吹き抜けていきます。
目を凝らせば、暗闇の中に槍ヶ岳の姿がかすかに見える気がする。
夜明けを期待して、さらにゆっくりと東鎌尾根を行くことにしました。

5時30分。やっと、青黒い槍ヶ岳が見えてきました。
穂先のすぐ下には、煌煌と槍ヶ岳山荘の明かり、ずっと南のほうにも
小さな明かりが。
塔のてっぺんのようなところの明かりは、何だろう。

<槍ガ岳が目を凝らさなくとも見えるようになりました>
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<青黒い槍ヶ岳が見えてきました>
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分刻みに明るさが増します。
山の姿が浮かんできて、北穂高岳の山頂に建つ山小屋と分かりました。
山頂にチョコンと乗って、今にもコケそうです。

<朝日の前に赤焼けに変化します>
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5時50分。ご来迎はまだですが、槍ヶ岳が赤く染まりだしました。
5時58分。いよいよ、槍の穂先に朝日があたりました。
6時4分。西岳を乗り越えた朝日が顔を出しました。

<朝日が穂先を照らします>
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<やっと朝日が乗り越えてきました>
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空は、真っ青。雲ひとつ無いとは、こんな空のことでしよう。
南には、北穂高岳、前穂から続く北尾根も素晴らしい。正面には槍ガ岳が
ドーンと鎮座。北鎌尾根はいくつものピナクルが連なり、天上沢に下りていく。
「もうチョッと若かったら、今日は北鎌尾根だったな」「来年は、早めに行くぞ」
夫は、まだ諦めていませんでした。

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「災い転じて」とは言いますが、
夫のオトボケがあって、今、この素晴らしいパノラマに出会うことがてきました。
まったく、なにが幸いするか、分からないものです。

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7時15分、ヒュッテ大槍到着。「ピークス」で絶賛していたから、覗こうかなと
思っていたのに、外に出てきたお兄さんが、無愛想だったので、
外のトイレをお借りしただけで、通過です。

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<前穂の北尾根もなかなかのものです>
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<殺生ヒュッテと槍ガ岳>
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どんどん迫ってくる大槍を見ながら、「雪の状態が良かったら、天上沢側に回り
こんで、北鎌側から頂上に登ろうかな」と夫の妄言です。
未練がましく、ず~っと右側に顔を傾け続けた末、「万が一があると笑われるから、
今回は止めとこう」と、やっと諦めたようです。

8時15分、槍ヶ岳山荘に到着。山荘前の道標や囲いに、エビノシッポが付いています。

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槍への登り

連休より1日早い、入山だったためか、人は少ないです。
山頂では、直ぐに降りたい私に、360°の展望を楽しもうとする夫。
不満気な夫ですが、25年ほど前に見た悪夢に取り付かれそうで、
楽しむ気にはなれません。
雷に打たれ、硬直した遺体がそこかしこにあったことを、思い出してしまいました。

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9時25分、下山開始です。
広大なカール。春先には、絶好のスキー場になるでしょう。この光景を
目の当たりにした夫は「スキーで来るぞ」と一言。

来年のスキー行は、①富士山山頂から②立山周辺③剣岳長次郎谷④奥穂ザイテ
ングラード⑤西穂高 などと、数え上げる夫。
とても、体が足りません。

      <カールは暖かいのに、流れにはツララが‥‥>
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10時10分、天狗原分岐到着。
ここまでの駆け下りで、ゆっくり休んでいたい私なのに、天狗池に行きたい夫。
「一人で行ってよ!」と言いたくとも、言い出しにくい。渋々、往復することにしました。
それにしても、疲れるなあ!

<氷が張って、逆さ槍はイマイチです>
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池に移る槍ガ岳は、さすが感動ものです。
でも、昨日の夜の寒さに、「今日中に上高地か、徳沢園あたりまでまで下ろう』と言う
ことにしたので、喜んでばかりはいられません。
約1時間で、分岐に戻り、いよいよ駆け下りの開始です。

途中、「山散歩」さんが登ってきたのには驚かされました。今日も元気なご夫婦です。
もう、これで、4度目の出会いです。
奥久慈の山での初出会いから、こんなに出会うとは、ご縁としか
言いようがありません。

12時25分、キャンプ場到着。昨日とは別の世界のようです。
すり抜けなければ、自分のテントに行きつけません。
なんと言う、繁盛振りでしょう。
12時55分、テントが乾いたのを待って、早々にテント場を譲り、出発。

13時10分、槍沢ロッジ。ここも、大繁盛。一杯の人の群れです。
朝出発から、すでに10時間になろうとしています。
お腹が空きました。
行動食はやめて、二人分として、カレーとラーメンを頼みました。

混んでいても、ロッジに注文されるものは少ないらしく、
アット言う間に出てきました。
ラーメンは普通でしたが、カレーには参りました。いつもなら、食べ残しを
夫に片付けて貰っているのに、完食してしまいました。

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13時25分に出発し、1時間弱で横尾山荘着。
なんと言う光景でしょう。
テント、テント、テントで溢れかえっているではありませんか。
これでは、徳沢園も同じでしょう。

こうなれば、上高地まで駆け下り、一気に自宅まで帰ろう。
でも、この先3時間も歩くのは、ゾッとする。思いっきり飛ばしていこう。
そこで、上高地着の目標を4時としました。

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膝に痛みを抱える私が飛ばしているのに、夫は登ってくる団体様ご一行に
挟まれてしまい、遅れ気味です。
次々に、団体様が登ってきます。こんなに、多くの者たちが、どこで泊まる
のでしょう。この時間だから、予約済みなのでしょうが。
徳沢園は、案の定です。横尾以上の繁盛振りで、
大小さまざまなテントが、ひしめき合っていました。

予定通りに飛ばして、明神館まで1時間。ここで、迎えのタクシーを予約し
最後のワンピッチ、上高地に向かいます。

16時10分。目標時間を少し過ぎましたが、タクシーに乗りました。

今日の行動。休憩・食事の時間を含めて、ここまで約13時間。
コースタイムだけでも、15時間強のところをです。

この後、17時から18時まで「平湯の森」で温泉に浸かり、コンビにの
サンドイッチを食べただけで高速道路をひた走り。
23時、自宅に着き24時に布団に入りました。

今朝は、朝1時には起きていたでしょうから、それから延々、23時間も
行動し続けていたのです。
これを、「引き回しの刑」と呼ばずば、なんと呼ぶのでしょう。

とにかく、疲れました。





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Posted by tomo
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